自社ホームページで新たな顧客へアプローチする

Webマーケティング

自社のホームページを持つこと

世界最初のWebサイトは1991年に作られたそうです。それから約30年。個人・企業を問わず、多くのWebサイトが作られてきました。中小企業の経営者も、すでに多くの方が自社ホームページを作ってインターネトに公開し、ビジネスに活用している方もたくさんいらっしゃいます。ですが、それでもまだ100%の企業が公開しているとは言えない状況のようです。

下図は、2018年度の小規模事業者のITサービスの利用状況のデータです。自社のホームページを持ち、経営に活用できている事業者は43.8%。 今も、半数近い小規模事業主の方は、Webサイトに頼ることなく、経営を進めています。

小規模事業者のITツール・サービスの利用状況
小規模事業者のITツール・サービスの利用状況
「2018年度小規模事業者白書」より引用

中小企業白書によると、Webサイト持たない理由のトップは、費用対効果が見えないから。確かに、自社のホームページを立ち上げたことによって、すぐに顧客が増えるということはないですし、大変な苦労をした割に売り上げは伸びないということも考えられます。実際、業種によって偏りもありますが、建設業や運輸業の方などは、自社ホームページの開設の割合が低いようです。

また、自社はすでにWebサイトを持っているから大丈夫、安心だ、というわけでもありません。私自身も中小企業診断士としていくつかの企業の経営者の方と会話し、Webサイトを拝見したことがありますが、残念ながら、とても使い物にならない、もったいない状態のページであることも多々あります。

  • 誰のために、何のために作っているサイトかわからない
  • 相当長い期間メンテナンスされていない
  • アクセスに対する分析が(おそらく)行われていない

2021年現在、世界には18億をこえるWebサイトがあるといわれています。そんな多くのサイトから自分のサイトを見つけ出すことは容易なことではありません。 さらに、貴社のホームページにアクセスしてもらい、有益な情報を顧客に与えて売上につながる行動を促すには、工夫が必要です。まず、そのホームページの目的、何を伝えたいかを明確にすることが大切です。大きく分けると3つの目的が挙げられます。

販売促進、新規受注先拡大、知ってもらうため

自社の製品やサービスの強みが何であるかを知ってもらうためのホームページです。これまでその製品を知らない潜在的な顧客に対して、製品やサービスに関心を持ってもらうことが重要です。そのために「知りたいこと」や「困ったこと」を具体的にイメージさせるような情報を掲載するなどの工夫が必要となります。

飲食や小売りなどのB2C事業の場合は多くの企業がすでにホームページを通じた集客が主流になってきていますが、B2Bにおいても同様な効果は狙えます。取引先を拡大したり、一社依存から脱却するなどの経営課題の解決ために、まず認知を得ることは重要な一歩となりえます。

広報、情報の提供による信用度向上のため

自社の存在をすでに知っている顧客に対して、会社の情報を提供することが目的のページです。いわば名刺代わりのようなもの。事業の内容、商品・サービス、強みの明確化、連絡先の提供、営業時間のお知らせ、などが主な情報となります。ほかにも、環境への取り組み内容を伝えたり、経営者のこだわりのストーリーテリング、働きやすい職場を写真や動画を使って積極的に見せていくなどの方法で、広報や採用の面でも大きな意味をもつページも効果的です。

商品の販売を行うECサイトとして

目的のもうひとつは、Webサイト上でダイレクトに商品の購入や決済を行うことが目的のサイトです。楽天などのショッピングモールや、Shopify, BASEなどを使ったECサイトが挙げられます。

このような業種の場合は、そもそも自社のWebサイトがないとビジネスになりませんので、情報発信のためにホームページを持つかどうかを検討する、といった内容とは少し主旨が異なりますので、以下は上の2つの目的でサイトを作成する方法について述べていきます。

どんなツールを使用するか

ホームページを開設する目的によって、サイトのデザインや作り方も変わってきます。いずれの場合も、いきなりパソコンに向き合ってページを作っていくのではなく、ホームページを使って何を伝えたいか、どんな情報を公開するか、といったコンセプトをまとめていくところから始めていくのもよいと思います。このコンセプトがはっきりすれば、あとはそれをデータに変えていくだけです。

20年前は、HTML, CSS, JavaScript, PHPといった様々なコンピュータ言語を扱ってページを作る必要があり、かなりハードルが高い時期だったと思います。17年前、私自身も最初に公開した趣味のビールのファン交流サイトは、フルスクラッチ(一から自分)で構築したため、とても苦労した記憶があります。

しかし現在は、すべての自分で行う必要はなく、画面上で設定を変更したり、部品を組み合わせるだけで簡単にページを作れるようになってきました。ちょっとしたページであれば、ご自身で作ることも可能です。

画面の見た目やデザイン・色使いなども、ご自身ですべてを決めていく必要もありません。多くのツールでは、テンプレート・ひな形が多数用意されているので、それらを選ぶだけでも、簡単なページを作ることが可能になってきています。

ここから先は、そのコンセプトに沿ったWebサイトをどのように構築していくか、いくつか方法をご紹介します。

[おすすめ] レンタルサーバー+WordpressなどのWebサイトソフトウェア

小規模のWebサイトを構築する際に、よく利用される方法です。このサイトもこの方法で構築しています。次の手順によって、インターネット上に自分だけが利用できるスペースを確保し、そこに企業情報などホームページに必要な情報を置くことで、全世界に対して情報を発信できるようになります。レンタルサーバーの事業者によっては、無料でのお試しプランなどもあるのでぜひ試してみてください。

  1. レンタルサーバー業者と契約する。
    • ロリポップ、エックスサーバー、さくらインターネット などの事業者のプランから選択して、インターネット上にご自身の記事などを公開できるスペース(サーバーとドメイン)を確保します。
    • 容量や通信速度などで費用は異なりますが、小規模事業者の情報提供用のWebサイト向けであれば、初期費用1000円 年間10,000円くらいのプランでも十分だと思います。
  2. WordPressなどのWebサイトソフトウェア(CMS)をサーバーに導入する。
    • 確保したスぺースにホームぺージを構築するためのツールを設定します。米国ホワイトハウスのページもWordpressで作られているというくらい、最近はWordpressを使ったサイトが増えてきているようです。
    • WordPressを利用する場合は、ご自身でツールを設定(FTPインストール)しなくても、上記のレンタルサーバー業者がボタンひとつで簡単に準備してくれる場合もあります。
    • 上記で挙げた3つのレンタルサーバーはいずれも簡単インストールに対応しています。ツール自体は無料です。
  3. 自分のPCのブラウザからWebサイトの記事や写真を登録していく。
    • 契約した自分のサーバーにおかれたWordpressなどのWebツールにログインして、企業の概要や商品サービスの説明記事や写真を登録していきます。
    • WordPressには、膨大な数のデザインのひな形(テーマ)も用意されているため、企業のイメージあったデザインのページを作っていくことが可能です。
    • これらの作業はすべて、ご自宅のパソコンのブラウザから行うことが可能です。

クラウド ホームページ作成サービス

2つ目に紹介するのは、ブログ型のWebサイト構築ができるホームページ作成サービスを活用する方法です。この場合はレンタルサーバーとの契約などは不要で、サービスにアクセスしてアカウントを作るだけで簡単にWebサイトを構築することができます。とてもお手軽ですが、その分、ご自身でレンタルサーバーに構築する場合と比較すると、デザインや表現の自由度にはある程度制限があります。じっくりとカスタマイズしたいといった場合でなければ、まずこの方法で初めて見るのでもよいでしょう。

  1. Webツールのサイトへアクセスし、アカウントを作成する。
    • Wix, Jimdo, WordPress.comなど、Web上でサイトを構築するサービスやツールを提供しているサイトへアクセスし、ご自身のアカウントを作成します。これだけで、専用のWebページが使えるようになります。プランは各社さまざまですが、容量や通信速度、作成するページ数などに応じて費用が異なります。こちらも小規模事業者向けには年間10,000~15,000円くらいのプランで運用が可能です。
    • Jimdoはドイツの企業のサービスですが、日本ではKDDIウェブコミュニケーションズがサービスを協業提供しているため、サポートは安心かもしれません。
    • WordPress.comはちょっとややこしいのですが、先にのべたWordpressとはちょっと違っていて、レンタルサーバーの契約なしで使えるサービスです。名前は一緒ですが、別物と考えてもよいかもしれません。
  2. アカウントでログインし、ページをカスタマイズする
    • アカウントを登録したあとは、上記の方法と同様に、記事をブラウザ上で記入したり、写真を投稿したりと、内容を充実させていくことでホームページを作ることができます。
    • 簡単なものであれば数時間で作ることも可能です。

Google マイビジネス

もっと簡単に無料で自社のページを持つ方法のひとつが、Googleマイビジネスの活用です。Googleマップなどにアクセスすると、自社のお店や営業所の情報が載っていると思います。すでにご自身でGoogleに対して、ビジネスオーナーとして登録している方も多いと思いますが、もしかしたら、勝手に自社のアドレスが載っているという場合もあります。これは、Googleが自動で作成しているためです。

Googleマップから自社の情報を選択し、自分が「ビジネスオーナー」であることを申告すれば、そこに情報を記載できるようになります。これはGoogleマイビジネスのサービスです。すでにご自身のホームページを持っている場合は図の「ウェブサイト」の部分にリンクを登録することもできますが、ページがない場合はそこに簡単な自社ページを作ることが可能です。

載せられる情報は、営業時間や写真ギャラリー、自社の情報など限定されますが、基本情報を発信する目的であれば十分に活用することができます。

AWS + WordPressなどのWebサイトソフトウェア

最後に紹介するのは、、レンタルサーバーではなくAmazon社の提供のするAWS(Amazon Web Service)の機能を使って、クラウド上にストレージとEC2インスタンスを契約し、Webサービスを構築するというものです。

非常にアクセス数の多いECサイトを構築する場合や、海外など様々な地域からの高速アクセスが必要なサイトの作成、画像や動画などのサイズの大きなコンテンツを高速に配信したい場合などは、AWSのサービスをつかって、自社のサイトを公開することも可能です。

ですが、すべての詳細な設定を自分で行う必要があり、中級者向けの立ち上げ方となります。

どうやってホームぺージを作成するか

公開する方法を検討とあわせて、どうやって誰が作成するかも考える必要があります。忙しい経営者が自分ですべて構築するというのは現実的ではないかもしれません。その場合は、業者や他の方に依頼することになると思います。

それでも良いと思いますが、私がおすすめするのは、それでもまず1度、自分たちで一度は自社サイトを作ってみることです。実際に作業されるのは、経営者ご自身でも、あるいは社内でITスキルがありそうな方や好きな方でもよいと思います。

後述しますが、自社のホームページは常に更新されていくことが必要です。それはビジネスと同じ、扱う商品やトレンドが季節や年によって変化したり、新しい技術やサービスをトップページで強調して紹介したりと、時節に応じて更新していくことが、顧客を獲得し信用を得ることにつながるはずです。更新されているページの方が、Googleの検索で見つかりやすいといったSEOの観点でも大切なことです。

自分/自社で作成する

上記で述べたように、Webサイトを構築するハードルはずいぶんと下がりました。ある程度のパソコンを操作できるスキルがあれば、書籍やWebサイト、商工会のセミナーの内容などを通じて、自分で作ることも可能です。内容にもよりますが、ページのコンセプトや、記載する内容さえ決まっていれば、5~10時間くらいの作業で、数ページのサイトは作成可能です。

実際に、レンタルサーバ+Wordpressをつかって、社内で自作したWebサイトを公開されている事業者さんもたくさんいらっしゃいます。それでも十分だと思います。

ここで、ひとつ注意しておきたいのは、友達や知り合いに無料での作業を頼むのは避けた方がよいということです。知り合いに頼んで善意で作ってもらったページというのは、公開するまではよいのですが、その後メンテナンスされないケースが多くあるようです。古いページをそのまま放置しておくのは、その知り合いにとっても経営者にとっても、良い結果はもたらしません。

自社で作成する場合は、ぜひ経営者か従業員でチャレンジしていきましょう。

ホームページ作成業者に依頼する

この項目は説明は不要かもしれませんね。「ホームページ作成」で検索をすると、たくさんの業者を見つけることができます。ホームページは自社の顔となる情報発信の場ですので、中身の説明もせずに丸投げをすることはできません。しっかりと、発信したい内容を伝え理解してもらうためのコンサルティングが行われるかどうか、一度公開した後のメンテナンスはどのような進め方になるのか、経営者の考えに合わせて選んでいくのがよいと思います。

ページの規模や、デザインの特殊性、こだわりのレベルによっても異なりますが、だいたい20万~100万円というのが相場と考えてよいのではないかと思います。デザインもすべてオリジナルの場合は高くなりますが、WordpresやWixなどのツールを使ってひな形を活用したサイトであれば、安価で依頼することも可能になると思います。

依頼サイトで発注・アウトソースする

業者に依頼することとあまり差はありませんが、ランサーズやクラウドワークスといった依頼サイトをつかって、フリーランスや小規模のWebデザイン事業者に依頼するという方法もあります。多くの依頼を受けている実績のあるフリーランスの方も多いので、ある程度一般的な企業のサイトに近い内容やページ構成、デザインを考えている場合は、活用できるかもしれません。依頼内容によりますが、2万円~20万円くらいで依頼できることが多いようです。

大事なことは継続的に情報をアップデートできる環境

ここまで、自社のホームページを公開するためのいくつかの方法をみてきました。実は、公開作業と同じくらい大切なことは、どうやってそのページをメンテナンスしていくかということです。一度立ち上げたページを誰がどのように更新していくか、そのために社内にどんな体制を構築するか。まったく更新のされないページを放置することは、会社の信用度の観点ではむしろ逆効果にもなりかねません。

必ずしもすぐに運用の可能スキルのある社員が社内にいるとは限りません。その場合は、育てていくことも必要です。最適な体制や育成の計画は、経営者の方のマインドやスキル、従業員の方の好奇心、この先どれくらいホームページを使った訴求や顧客開拓に投資していくか、事情は会社によって異なると思います。

上述のように、まず経営者自ら、あるいは社内の誰かを担当にして、一度自社サイトを立ち上げてみると、その仕組みや中止する点、メンテナンスの方法がある程度理解できるようになります。担当者育成もかねて、立ち上げながら運用できる人を自社においてほしいと思います。

まずサイトを立ち上げてみて、そのページで物足りなければ、改めて業者に依頼してプロの力によって構築していけばよいと思います。そうして、プロの作成したページを引き継いで、社内でメンテナンスできる状態にしておくこと、運用が可能な体制を作ることがとても大切なことだと考えています。

どのようなページを、どのような方法で作成し、どのように社内で運用していけばよいか、もし迷うことがあればぜひご相談下さい。

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