出店地域の商圏分析 ① j-STATで何ができるの?

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j-STATでできること

出店エリアの検討: 商圏に住む住民の人口構成は?

もしあなたがクリーニング店の経営者だとして、経営が順調に伸びてきたところで2号店を出店するエリアを探しています。あなたのお店の強みは、幼児や小学生の体操服やスポーツウェアの汚れをきれいに落とす泥染みをきれいに落とすクリーニング。少子高齢化の進む時代、少しでも子供の多いエリアを探して出店を考えたくなります。

あるいは、あなたが接骨院を開業しようとしている場合は、メインのターゲットとなる高齢者の人口統計が気になるのではないでしょうか。その地域にどれくらいの高齢者の方がいて、またその地域にはどれくらいの競合となる接骨院や病院があるのか。

こういった情報を調べることは、実はそんなに難しいことではありません。地域の雰囲気や、住んでいる方の特徴まではわかりませんが、統計的に地域の特性(どんな年齢の人が住んでいるのか、一人暮らし世帯がおおいのかなど)を把握することはできます。ここで役に立つのは、日本の各府省が公表したデータをまとめたポータルサイト e-STAT です。

e-STATは、各府省が公表する統計データをまとめ、検索をはじめとした、さまざまな機能を備えた政府統計のポータルサイトです。例えば5年に一度行われている国勢調査など、国民や企業を相手に行っている各種調査で集まった情報が公開されています。

eSTAT 統計でみる日本

この統計データのなかで、特に地理情報との関係をまとめたツールが、j-STATです。e-STATにアカウント登録し、ログインすると使えるようになります。上記のサイトの「地図」「統計GIS」というアイコンから進むことができます。

このページでは、j-STATを使ってどのようなことができるのか、その一例を紹介したいと思います。具体的にどのような操作を行うことで情報が取得できるのかは、別のページで紹介したいと思います。ちなみに、これらの作業はアカウントさえ登録すれば、無料で行うことができます。

トライアル:接骨院を出すなら 池上周辺? 田園調布周辺?

はじめに

あなたは、都内に接骨院を開業しようと考えています。競合の多い業種ではありますが、しっかりと学んできたそのスキルを使って、高齢化の進む現代において高齢者の方の健康を少しでも良くするために貢献したいと思います。自分の住む大田区を中心に物件をみたところ、東急池上線池上駅と、東急東横線田園調布によさそうな物件を見つけました。最初の出店場所はどちらがよいでしょうか。

商圏エリアの作成

j-STATでは、まず商圏となるエリアを地図を使って設定することができます。たとえば、池上駅を中心に徒歩で20分圏内を商圏と考える場合、下記のようなエリアを定義することができます。以降、このエリアに対して様々な分析を進めていくことになります。

どちらの商圏に高齢者が多いのか

同様に田園調布の徒歩20分圏内も商圏としてエリア定義してみました。それぞれに対して、最新の国勢調査の情報を利用して、65歳以上の方のいる世帯数をカウントすることができます。ここでは、田園調布駅周辺エリアが6265世帯に対して、池上駅周辺エリアが11812世帯と倍近い高齢者世帯があることがわかります。

地域ごとの高齢者の分布を調べる

同じエリアの中でも、駅の北側南側や地形によっても分布は大きく異なります。e-STATでは町丁の単位で分布をみることも可能です。田園調布の場合は、多摩川に沿って南方面には高齢者世帯が多いですが、北側のエリアは少ないことがわかります。池上駅の場合もどちらかと言えば、南側の方が世帯が多いことを読み取ることができます。見つけた物件がどのエリアにあるかによって、商機につながるかどうかが大きく分かれてきそうです。

競合の出店状況

それぞれのエリアでの、接骨院や整体などの競合の店舗数や、分布の状況を調べてみたいと思います。今ですと、Google Mapをつかって検索するのが最も手軽だと思います。下の図は、Google Mapをつかって、池上駅周辺の接骨院を調べた結果です。この情報だけでも競合店舗の出店状況を把握することができますが、せっかくなのでj-STATにこの競合店情報を取り込んでみましょう。

ここでは手順は省略しますが、Webスクレイピングという技術を使って、GoogleMap上に表示される複数の競合店舗の住所情報を抜き出すことが可能です。その住所情報をjSTATにインポートすれば先ほどの商圏エリアに店舗をマッピングすることができるのです。

ここでは、それぞれのエリアでGoogleMapに表示された上位30の競合店舗(接骨院や整体)をプロットしてみました。田園調布エリアでは商圏内に17の店舗、池上エリアでは28の店舗が存在することがわかりました。潜在顧客が2倍ほど違うとすると、ひとつの店舗当たりの顧客はやや池上の方が多く、比べると池上駅の方が潜在顧客獲得の機会が大きいと考えることもできそうです。

池上エリアの詳細を見てみましょう。駅の近くに多くの競合店舗が存在していることがわかります。それでも、東のエリアは高齢者世帯が多い割には接骨院が少ないエリアのようにも見えます。あなたの見つけた物件がそのエリアであれは、うまくDMなどのマーケティングをかけていくことで商機につながる可能性もあるのではないでしょうか。

詳細データではないけれども

非常にざっくりとしたデータではありますが、日本全国の地域において、同様の手法で簡単な商圏分析をすることが可能です。どこに出店すればよいか、あるいはどの地域に重点的にDMやポスティングを行うかといった、マーケティングの検討に役立つデータが見えてくるかもしれません。誰でも無料で使うことができるツールです。ぜひ活用してみてください。

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