チャットボットで自動応答:Chatplusやってみた

Webマーケティング

チャットボットとは

ここ数年、企業や行政のホームページの一部にLINEのような見た目の、メッセージをやり取りする画面を見かけるようになりました。これは、チャットボットと呼ばれているツールで、ホームぺージを閲覧している人から、その企業などに対する質問や問い合わせをその場で行い、すぐに回答を得られるというものです。

例えば、海外の商品を扱うECサイトでは、通常公開されているページでは説明されていない商品の詳細情報を尋ねることができたり、ホテルのサイトではチャットの会話からそのまま予約までできるものなど、その用途は様々です。

定型の文章を使ったやり取りに対応するものから、AI技術をつかって、あいまいな内容に回答をしてくれるものもあります。なかには、実際にオペレータがリアルタイムで回答をするものなど、そのスタイルは様々です。

チャットボットのあるホームページの一例 (右下にチャットボット)

お客様の関心に応えていくという点では共通ですが、システムとしては、AI(人工知能)を搭載しているかどうかで、その提供可能なサービスは異なってきます。また、費用もAIの有無で大きく異なることがあるようです。

AI非搭載型

あらかじめ、設定された定型のQ&Aのデータリストに従って、あたかも人が回答しているかのように、システムがユーザーの疑問に答えていくものです。提供している事業者にもよりますが、「在庫はある?」「できるだけ安いのがほしい」といった、あいまいな表現の質問には対応できないケースもあります。

普段の営業活動のなかで、「駐車場はありますか?」「年末の営業はいつまでですか?」「領収書は発行できますか?」など、メールや電話などで、お客様からよくいただく質問が、経験上溜まってきているケースがあると思います。この「よくいただく質問」というのが重要で、これらをデータとして登録し、シナリオを選択したり、キーワードに応答する形で、ユーザーとのやり取りをすることも可能になっています。

また、質問の選択肢によっては、実際に店舗でスマホやPCの端末の前にいる店員(オペレータ)がリアルタイムに回答することで、ユーザの満足度を上げていくという方法も可能です。

導入に必要な費用は比較的安く 月額1500~10000円くらいで設置が可能なものが多いようです。

AI搭載型

AI搭載型の場合は、質問の仕方が多少あいまいであっても、そのお客様の質問の履歴や文脈から、ある程度質問内容を補完するなどして、回答ができるようになります。「Aの在庫ありますか」「Aはまだ買えますか」「A売ってますか」「いつものは置いてある?」「一番安い商品は?」などの質問に対しても、そのの文章の揺らぎを吸収して回答できるようになります。

また単語の文字の揺らぎに対しても、一定の強度を発揮することが可能です。例を挙げると、「パソコン」というキーワードひとつとっても「PC」「パーソナルコンピュータ」「レッツノート」「VAIO」などの、多様な表現が可能です。これらを、「パソコン」として認識できるかどうかで、適切な回答が異なってきます。これが可能になっているのもAI搭載型のチャットボットの例の一つです。

AIは便利ではありますが、AI自身がその精度をあげるために、事前にある程度の量の参考データ(教師データ)を用意する必要があったり、導入自体のコストが高くなる(月額100,000円以上など)というデメリットも存在ます。

チャットボットで解決できること

チャットボットは、その名の通り、対話型のやりとりをサポートするツールです。そのため、多様なサービスを提供することが可能です。ここでは、代表的な2つの例を見てみたいと思います。

例:問い合わせFAQへの効率的な対応

「お店の営業は何時までですか」「ポイントカードに期限ありますか」「沖縄への送料はいくらになりますか」といった、これまでに営業中に聞かれたことのある質問や、聞かれそうな質問を、あらかじめデータとして作成しておいて答えるというものです。電話応対にかけていた時間が不要となり、効率化されるだけでなく、ホームページを見たお客様のちょっとした疑問に答えていくことで、ホームページの滞在時間が長くなり、自社の商品への関心を強めことにも効果があります。

質問によっては、あらかじめ用意されたデータでは回答できないものがあります。たとえば、「本日PS5の入荷はりますか?」や「台風が来ていますが営業はされていますか?」など、比較的リアルタイム性の高い質問に対しては、事前に準備は難しいものです。これらに対しては、ロボットが回答するのではなく、店舗にあるパソコンやスマホに転送して、スタッフによる回答ができる仕組みが用意されているものもあります。

例:マーケティング支援とCVRの改善

アクセス数の多いページの場合、ページ内のクリックや滞在時間による分析だけでなく、チャットボットに対する質問や疑問のキーワードから、お客様がどのような商品やサービスに関心を持っているかという情報を直接入手することが可能です。うまく質問を設計すれば、顧客の年齢層や性別なども把握することができるため、マーケティングツールとしての活用も可能です。

例えば、フラワーショップなどで、店舗側の想定に反して、男性からの観葉植物に関する問い合わせが多いということがわかれば、そのような商品をピックアップしてホームページで紹介するなどの改善により、CVR(Conversion Rate)を高め、収益につなげることも可能となります。

ホームページによる情報提供との違い

ホームページは、どうしても、店舗側の目線で「店舗で得られるサービス」を並べて紹介する構成になりがちです。営業時間、扱う商品・サービス、経営者の想い、連絡先など。これらの情報は有益ですが、お客様の視点だと、何(What)を得られるかだけでなく、どうやって(How)そのサービスを得られるかを解決してほしいこともあります。

チャットボットを構築する際には、必ずお客様の疑問に答えるかたちで情報を整理することができるため、店舗による独りよがりな情報提供だけでなく、実際の購買につながるような質問とその回答を準備することが可能となります。

自社のホームページで、どんな情報を伝えるべきか、何をどんな順番で掲載すべきか、といった分析を改めて行う際にも有益かもしれません。

チャットボットを使ってみる(Chatplusの例)

下の図は、サイシード様のサイトから引用させていただいた チャットボットのカオスマップです。非常に多くのツールがすでに存在することがわかります。上記で述べたAI(人工知能)の有無による分類、マーケティングや問い合わせへの対応など、各分野で多くのサービスが登場しているカテゴリーだといえそうです。

チャットボットツールはたくさん
引用元:https://saichat.jp/chatbot/compare/

このページでは、これらのチャットボットのサービスから、Chatplusを選んで、使ってみた様子を紹介したいと思います。仮想のフラワーショップのホームページにチャットボットを導入してみたいと思います。

Chatplusとは

Chatplusは、数多くあるチャットボットの中のひとつです。AIを使ったプランからそうでないものまで、幅広いオプションが用意されています。最もシンプルなプランであれば、月額1650円(2022年2月時点)で導入できるということもあり、ちょっと始めて見る、というニーズに応えるサービスの一つではないかなと思います。期間は短いですが、お試しで無料で使ってみることも可能です。

チャットボットの作り方

Chatplusはクラウド型のサービスです。そのため、特別なソフトのインストールなどは不要で、自社のホームページを立ち上げている方であれば、そのページにちょっとしたスクリプト(数行の文)を記載するだけで、導入することができます。

クラウド型のサービスですので、まず必要なことは、Chatplusのサイトでアカウントを作成することから始まります。

設定の方法① デザインの決定

まずは、デザインから。
ログインした後の画面、左側のメニューからデザイン⇒テンプレートを選択します。ここで、あなたのホームページに重ねて表示するチャットのための画面の大きさや、位置、色などのデザインを決めていきます。後で変更もできるので、ご自身のホームページのデザインテイストにあった、配色などを選べばOKです。

デザインの設定。後から変更は可能ですが、やっぱり見た目は大事。

設定の方法② 初回メッセージ

次に、最初に画面に表示するメッセージを決めていきます。フラワーショップのホームページに載せることを想定して、右下の画面のような4つの問い合わせの入り口を搭載してみます。

左側のメニューから「初回メッセージ」を選択して、最初にお客様に提示するメッセージを構築していきます。ここでは、「お困りではございませんか?」といった問い合わせの文言を入力するとともに、「取り扱いの商品について」「ご注文について」などの、よくお問い合わせをいただきそうな質問を定型として準備することができます。

最初に表示されるメッセージと選択肢(問い合わせ)を準備

設定の方法③ チャットボット応答(定型)の編集

2ページ目以降の画面は、左側にあるメニュー「チャットボット」をつかって構築していきます。
たとえば、初回メッセージで、お客様が「取り扱い商品について」を選んだ場合に、さらに詳細に質問のボタンを細分化していく場合は、下図のように「チャットボット」を設定していきます。ここでは、お客様が「取り扱い商品ついて」を選択した(=発言した)場合に、新たに5つの選択肢を提示するようにしています。

このホームページにたどり着いたお客様が、どのような関心事、困りごとをもってページに滞在しているかを想定しながら、お客様に納得感のある選択肢を提示できるかどうかが、チャットボットを使ったお客様の満足度をえられるかどうかのポイントになってきます。

基本的には、この設定を繰り返すことで、選択肢を提示しながら、お客様の疑問に応えていくタイプのチャットボットの構築が可能となります。たとえば、「メッセージカードは使えるか」「包装紙はどんな色のものを選べるのか」といった、ホームページ上では煩雑となり説明できないような、個別のお客様の疑問に対して、回答することができるようになります。

設定の方法④ リアルタイムで回答する

ここまでは、あらかじめ用意可能な定型文による質問と回答の事例を紹介しました。これは、便利で効率的ではあるのですが、せっかっくチャット形式でお客様に対峙できるのであれば、リアルタイムでその時節に応じた対応ができると、もっとお客様の満足度につながるのではないでしょうか。

Chatplusをはじめとする多くのチャットツールでは、LINEのようなお店のスタッフとの会話チャットができるようなシステムも使用可能です。例えば、フラワーショップの例であれは、下記のように、用途や時節に応じた在庫の確認もあると思います。「ガーベラはありますか」「ヒマワリはありますか」など。

在庫や仕入れと連携して回答するようなシステムを構築することは可能かもしれませんが、直接チャットで回答することで、お客様のニーズや目的を深堀したり、もし在庫が無い場合にも代替品を提案するなど、お客様の求める商品に対して、最適な回答を用意することも可能になるのではないでしょうか。

定型だけでなく個別の質問にも回答可能

店舗側の画面では、下の図のように、リアルタイムでチャット画面を開いているお客様が一覧で見られるようになっています。そこから、どんな質問がきたのか、直接回答が必要な質問が来ているのかなどを、確認することが可能です。「ガーベラはありますか」といった個別の質問が来ている場合は、ここから回答することが可能です。

もちろん、接客中で手が離せない場合など、回答が難しい場合は、3分後に自動的に回答するといった設定もすることが可能です。

Chatplusの設定画面 つながっているお客様とのチャットの状況を確認することができる

設定の方法⑤ ホームページに組み込む

ある程度の設定が完了したら、あとは自社のホームページに組み込むだけでOKです。「一般設定」を開くと、ホームページに組み込むスクリプトが表示されます。これをコピペするだけで、自社のホームページにチャットボットの組み込みが完了します。Wordpressを使っている場合も、組み込みは可能です。

数行のスクリプトを組み込むだけ

大事なことは、最初の設計

いかがでしょうか。チャットボットを組み込むこと自体はそんなに難しいことではありません。Chatplusを使った場合、最小限の対話の応答であれば1時間くらいの設計で立ち上げることも可能だと思います。Chatplus以外のクラウドサービスも、基本的な機能には大きな差はなく、同じようなことを実現することが可能なようです。

ここで大切なのは、自社のページを訪問したお客様がどのような疑問や関心事をもって、訪問していただいているのか。ホームページに記載できていない情報で、どんな情報が必要なのか。何をお伝えすれば、来店や購買などにつなげることができるのか。

ただやみくもに質問と回答を作るのではなく、実際に電話や営業の際にお客様が何に困っていたか、どんな質問をいただいたか、どんな情報が成約につながったか、といった情報を分析して、チャットボットの質問や応答を設計していくことが重要となってきます。

HMD
HMD

チャットボットは、優秀な営業マンの代わりのようなもの。

どんな質問にどんな回答をすれば、お客様に響くのか。この分析と初期設計がとても重要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました